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約一年ほどいた村を出て、向かったのは北だった。
唯一方角がわかる方へ、ただ歩いた。
昔の、前の世界での記憶を持って生まれたことを、最初は良しとはしなかったけれど、この時は良かったと思った。
それが何だか虚しかった。
ただ生きたいと願う 02
私は満七歳だった。
この年の子供にしては銭を持っていたし、知識も豊富だった。
書き取りも読み取りも出来るし、裁縫の腕は呉服屋の店主に褒められたほどだ。
他にも沢山のバイトをしたから、それなりに生きていけるだけの術を私は持っていた。
だから私は新しい村を見つけ、そこでまた一からやり直そうと思った。
そんな折だ。
忍術学園という学校があると聞いたのは。
忍術学園というからには、忍者の学校なのだろう。
昔の日本に忍者がいたかは私は知らないが、ここには忍者がいるらしい。
前々から私はこの世界に少しばかりの違和感を持っていた。
私のいた世界の昔に生まれ変わってしまったのなら、横文字はもっと後に出てくるもののはずだ。
まして、戦をしている城の名前が聞いたこともないものばかり。
ドクタケ、アジロガサなどキノコの名前の城などあるはずもない。
だからきっとここは、どこか違う次元なのだ。
私はそう思う事でしか自分を保てなかった。
話が戻るが、忍術学園のことはこの時そんなに興味湧くものでもなかった。
ただ、忍者になれればそれなりの職を持つことが出来るかもしれない。
生きるという事に関して、守ってくれる存在のいない私にとって厳しいこの世界で、自分を守る術を身につけられる。
忍者になるからにはそれ相応の危険もあるだろう。
だがそれも自分の実力でどうにでもなるもののはずだ。
だから私は決断した。
忍術学園へ入園しよう。
そうすればきっと、こんな世界でも少しばかりは生きやすくなる。
忍術学園に入園するまで、あと三年。
続
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