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トリップ 1-01

小平太と仲良くなって、一区切りついたのか、心に余裕が出てきたのかもしれない。
今まで蓋をしていた感情が少しずつ溢れだしてきた。




輝かしい 1-01




朝食が美味しく感じた。
自分が死神だと気付いてから、食べ物はすべて砂の味がした。
何を食べても同じだった。
それなのに、心に一人受け入れただけで、こうも違うものなのか。

温かな優しい味がした。

「伊織!教室まで一緒に行こう!」
「ああ、一緒に行こう」

一緒にという言葉が嬉しい。
思わず復唱してしまった。
でも小平太は嬉しそうに笑ってくれたから、私も嬉しくて笑ってしまった。

「あ!伊織、紹介したい子がいるんだ!」
「?」
「長次って言ってな、とってもいいやつだ!伊織とも仲良くなれるよ!」
「・・・本当に?」

まだ小平太意外の子たちと仲良くなるのは恐い。
小平太は大丈夫だと言ってくれたけど、他の子はどうだろうか。
私の話を、気持ちを許容してくれるだろうか。

「心配しなくても、大丈夫だ。私が傍にいる」

自然と俯いていた顔を上げると小平太が優しく笑っていた。
大人びた笑顔だった。
私を安心させてくれる笑顔だ。

「・・うん」

小平太を信じよう。
小平太の友達を、信じよう。




「長次ー!」
「・・・・・・小平太・・」
「長次!伊織だ!仲良くなった!!」
「・・そうか・・・・・」
「あの、秋原伊織です。・・よろしく?」
「・・・・・・中在家長次だ。・・よろしく」
「!よろしく!」

長次は大人しい部類の人間だった。
無口で無表情だから周りから敬遠されるけど、でも凄く優しい。
この人も、小平太と一緒で柔らかい笑顔をする人だった。
私もつられて笑ってしまう。

「・・・伊織!こっち!」
「わ!小平太?」
「伊織はこっち!」
「え?・・・ここ?」
「そう!」

ぐいっと手を引かれて移動させられる。
長次の隣に小平太、そして小平太の隣に私が座った。
さっきまでは私を挟んで両隣に二人がいたのに、どうしたんだ?
心なしかムッとしているような・・・。

「・・・小平太、大丈夫だ・・・・・・・俺は伊織を取ったりしない・・」
「べ!別にそんなんじゃないぞ!」
「・・・」
「・・・・・・顔赤いぞ・・・」
「!・・・っ別にそんなんじゃないもん」
「(小平太拗ねてる)」

顔を真っ赤にして長次に反論している小平太はすごく可愛い。
私を取ったりしないって、つまり小平太は長次に嫉妬したってこと?

・・・・・・・嬉しい!

「小平太!」
「ぅわ!伊織!」
「小平太、大好きだよ!」
「ほほほ本当か!?私も伊織が大好きだ!」
「両思いだね!」
「両思いだ!!」

小平太に飛びついて、小平太も私を抱き返してきゃっきゃしてた。
長次はそんな私たちをみて、微笑ましく思ったみたいだ。
また優しく笑ってくれた。

ここはなんて温かいんだろう。








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