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朝の早い時間、それは私と彼女とのゆっくりとした一時。
6-01
「おはよう利津」
「あ、伊月!おはよう!」
朝の早い時間、私は食堂へ向かっていた。
まだ誰も起きていないこの時間、学園内で起きているのは私を抜いて、双子の妹の利津だけだった。
カウンターの向こうで笑顔を見せる大事な妹。
朝一番に利津の笑顔を見て一日を過ごすのが私の日課だ。
「今日のお薦めは?」
私はメニューを見ながら(それでも毎回メニューから選んだことはないが)利津にお勧めを聞く。
「んー私は焼き魚が好きかな」
「ならそれをもらおうかな」
「はーい!ちょっと待っててね!」
言いながら奥に引っ込んだ利津を見て、私はくすりとわらった。
今日も元気だな、いいことだ。
利津と二人きりになれるのはこの時間帯しかない。
だから眠かろうがなんだろうが、私はいつもこの時間帯に食堂に来るようにしている。
早起きは三文の得ってね。
私と利津はなにも双子だから一緒にいるとかそんなものじゃない。
それなら一つ下の三郎と雷蔵の方がまだ私たちより一緒にいることが多い。
でも、日中二人きりになれることがない私達は、せめて一日に一度くらい二人きりになれてもいいじゃないかと思う。
あいつらにことごとく邪魔されてしまうからな。
忌々しい!!
定食を持って現れた利津に一緒に食べようと誘うと、少し躊躇った。
「うーん」
「大丈夫だよ。まだ誰も来ないって」
「・・そうだよね。じゃあ一緒に食べようかな!」
「早く持っておいでよ」
「うん!」
私と同じ定食を持って私の隣へと座った利津に自然と笑顔になる。
そして今日一日分の会話を楽しむのだ。
といっても話す内容なんて、私の今日の実習の内容だったり、昨日の実習の成績だったりだ。
「昨日の実習どうだった?」
「そこそこ、かな?」
「じゃあ相当良かったんじゃん!流石伊月!私の兄!」
「ふふ、ありがとう」
私のそこそこは最上級一歩手前だと長年の経験で分かっているから、利津は手放しで褒めてくれる。
教師にも褒められたけれど、やはり利津に褒められる方が何倍も嬉しいに決まっている。
にっこにこの笑顔で、私の機嫌は急上昇だ!
「利津ー!!」
「チッ」
ほんわかした雰囲気が崩される。
小平太め、いつもいつも邪魔しおって。
今日の実習で目に物見せてくれる。
小平太が来たことによって、急いでご飯をかき込む利津に、小平太の運命は決まったようなものだった。
その日の放課後に予定されていた体育委員会の活動は、急遽変更されたのは言うまでもない。
彼、シスコンにつき
(体育委員の滝夜叉丸や後輩達にとてつもなく喜ばれた)(普段どれだけ辛い思いをしているんだ?)
(ごめ、伊月!助けて!)(もうしない!邪魔しないから!お願い許してー!)
続
・・・・・・・・・どうしようこれ。
こんなんだったっけ?
あれ?こんな設定だったっけ??
笑
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