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「伊月、お主にお使いを申し渡す」
そう言われた瞬間に、ああ碌でもないことだと理解した。
そして同時に面倒なことになったとも。
6-07
学園長先生のお使いは、いつもハードだった。
やれある城の密書を取ってこい、やれあの城下町の名物を買ってこい、やれある城の城主から巻物をもらってこい。
くだらないことから、プロが雇われるような忍務まで幅広かったけれど、学園長先生が私にお使いを頼むときは、決まって面倒臭く複雑で厄介なものが多かった。
今回の巻物運びも、きっと重要書なのだろう。
プロの忍者に出会わなければいいが、まぁ望みは薄いだろうな。
さーて、骨が折れそうだ。
なんて思って学園を早々に出たわけだが。
「利津のご飯食べてからにすればよかった」
向かう道の途中で見つけたうどん屋でうどんをすすりながら一人ごちる。
何が悲しくて一人寂しくうどんをすすらねばならないのか。
そんなことを思うけれど、すぐにでも出発せねばならない理由もあった。
出るのが遅れる分だけ、帰るのも遅くなる。
それは当然のことだ。
今回言い渡された城までは、早くとも行き帰りに三日かかるだろう。
行きに二日、帰りに一日と言ったところか。
ぱぱっと行って帰らなくてはな。
最後のうどんをすすって銭を机に置き、私はうどん屋を後にした。
辺りが暗くなってきた。
今は学園と城のちょうど間くらいの場所にある森の中だ。
野宿しかないが・・・あまり森の中だと危ないかもしれない。
私は背後に注意しながら、それでも深く森の中へと入って行く。
背後に一人、二人・・・四人か。
暗くなる前くらいから一定距離をつけられていたのには気付いたが、どこの誰かは分からない。
味方・・・ではないだろうけれど、それでも向こうが襲ってこないことには、こちらからは手出しできない。
・・負けるつもりはないが、かと言って勝てるかもわからない。
今夜は長くなりそうだ。
自然とため息が漏れたのは、仕方のないことだろう。
学園長のお使い
(一人に四人とかどんだけー)
(しかも全員プロ忍だし)
(・・・勝てるかなー?)
続
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