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俺には先輩がたくさんいる。
その中でもすごく好きな先輩はたったの二人だ。
一人は俺の委員会の委員長、食満留三郎先輩。
そしてもう一人は。
「伊月先輩」
そう六年ろ組の、俺に直接的な接点はない、八木原伊月先輩だ。
6-13
八木原伊月先輩は、食堂のお手伝いをしている八木原利津さんの双子のお兄さんで、実家は有名な甘味処らしく、よく下級生にお菓子を作っては振舞っている。
そういう俺もお零れに預かったことがあって、今じゃ伊月先輩のお菓子の信者といってもいいくらいだ。
先輩のお菓子を食べたら、そこら辺の菓子屋のお菓子なんて食べられない!
それくらいに先輩のお菓子は美味しい。
と、話がそれたけど、伊月先輩はとても優しくていい先輩だ。
俺のことを弟のように扱ってくれて、すごく気に入ってもらってると思ってる。
もしかしたら俺の勘違いかもしれないけど、でもきっと、伊月先輩も俺のこと好き・・・なはず!
だって俺、伊月先輩が大好きだからな!!
「どうした?作兵衛」
柔らかく俺を見て笑ってくれる伊月先輩は、くノたまにも大人気だ。
女の人には特に優しくて、下心なく接してくれるのがいいのだとくノたまの奴らが言っていたのを聞いたことがある。
相談にも嫌な顔せず親身になってくれるし、下級生のくノたまが実習でお菓子を持って行っても、何も言わずに引っかかってくれるんだって、そう言ってたのも聞いた。
・・・伊月先輩ってすっげー男前なんだな!
「伊月先輩って男らしい・・・」
「へ?」
「・・あ!」
やっべぇ!思わず言葉が口をついて出ちまった!
うわ、どうしよう!
優しくて綺麗だとよく言われている先輩に男らしいって、どうなんだよ俺!
どうしよう!伊月先輩に嫌われちまったかもしれねぇ!
あわあわ慌てても、どうしようもないことだと分かっている。
だって一度口から出た言葉は撤回なんて出来ないんだ!
でも、ああ過去に戻ってさっきの俺をぶん殴ってやりたい!
これで伊月先輩に嫌われたら俺は自分を憎むぞバカァ!
ふふっ
「へ?」
「ふふ。私は作には男前に見えてるのかい?」
「え?あ、ちが!そうじゃなくて!」
「おや、違うのかい?」
「あ、ちが!違わない!けど・・・」
「けど?」
にっこり柔らかく伊月先輩は笑った。
今まで男の人の笑顔を見て綺麗だと思ったことなかったけど、とても。
そう、とても綺麗だと思った。
「伊月先輩は、すごく格好良くて、俺の憧れで。でも笑った顔はすごく綺麗だと思います」
少し俯きながら、自分の思ったことを言ってみた。
だって、こんなこと先輩の顔を見ながら言うなんてできっこない!
でも、顔を上げられない。
だって、先輩、俺なんかが先輩に憧れてるとか言って、気分を害してないかな?
俺みたいなちんちくりんが先輩を綺麗だと言っても先輩は嬉しくないかもしれない。
ああ、どうしよう。
考えれば考える程、悪いことしか浮かんでこない。
「・・・~~っああもう!」
ビクゥ!
先輩の大声に思わず肩が跳ね上がる。
先輩怒ってる!どうしよう!!
目頭が熱くなってきて、視界も霞んできて、どうしようどうしようって思ってたら、目の前が急に真っ暗になった。
なんか、身体が温かい。
あれ?俺、伊月先輩に抱きしめられてる?
「ああもう!ああもう!!作はなんて可愛いんだ!!!」
「へ!?え、あ?伊月先輩!?」
「作、作、作、作!」
「あ、は、はい!」
「・・~~大好きだぞ、このバカ!」
「ぇ!あ、えっと俺も伊月先輩大好きです!!」
「あー!もう!!」
ぎゅぎゅぎゅーっと音が出そうなくらい抱きしめられて、苦しい。
でもいいんだ!伊月先輩が俺のこと大好きな証だもんな!
うわっ!どうしよう!すっごく嬉しい!!
それから俺と伊月先輩は一刻ほどずーっと抱き合ってたんだ!
大好きな先輩と
(伊月ー!お前また俺のところの後輩を唆したな!?)
(何を言ってるんだ?留三郎。私はそんなことはしないさ)
(嘘つくんじゃねぇ!作兵衛を返せー!!)
(返せ?作兵衛は最初から最後まで私のものだ!バカ者!)
続
何これ^^
一番最後の伊月のセリフが書きたかった、ただそれだけww
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