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利津が学園の食堂で働くにあたって、休日なんてものは最初っからないものと諦めていた節がある。
だから、こう言う時くらいは、まあ譲歩してやってもいいのかもしれない。
食堂の入口でなんやかんやとしていた仙蔵達は、あれで隠れていたつもりらしく(忍者なんてやめてしまえとかそんなことは思ってない。断じて)明日の休日に利津と一緒に町に行かないかと誘いにきたのだという。
当然私が邪魔をすることは目に見えていたから、こんなギリギリになってしかも私が忙しい時を狙って誘いにきたのだと。
ま、誘うのを押し付け合ってて結局私にばれてしまったってところがこいつららしくて笑えることだ。
「ふーん・・・別に誘いたいなら誘えばいいのに」
誘われて利津が喜ぶならそれでよし、喜ばなければ手を尽くして邪魔をする。
それだけだ。
私の中心は利津だから、最終的に利津がそれでいいのなら文句は言わないさ。
・・・あ、嘘。文句は言う。手も出す。でも邪魔しない。うん。
早口でまくし立てていれば私たちに気付いた利津がこちらに近寄ってきた。
どうやら食事の準備は済んだみたいだ。
「こいつらが町に行かないか、だと」
「町に?一緒していいの?行きたい行きたい!」
近づいてきた利津に端的に話せば(長年の付き合いからか利津は私が十言わずして何が言いたいか分かってくれる)すぐさま返事をくれた。
利津の声に驚いた仙蔵たちはバッと後ろを振り返り口々に、本当に?やら、やったぞ!と言い合っていた。
ガッツポーズまでして、やはり彼らもまだ子供なのだな、と思う。可愛いものだ。
「明日の朝門の前集合、だな。楽しんで来いよ」
「うん!・・・あれ?伊月は行かないの?」
「あいにくと、明日は滝夜叉丸たちに約束させられていてな」
すでに売約済みだ。笑って返せば、利津は少し残念そうな顔をしてくれるものだから、嬉しいことだな。
「たまには羽目をはずして遊ぶのもいいさ。沢山ほしいもの買ってもらえ」
「それはちょっと。ほしいものなら自分で買うよ」
利津は、全く伊月はと言って少し眉間にしわを寄せながら、じゃあ明日ねと仙蔵たちに言い残して、また食堂のカウンターの奥へと消えていった。
残されたのは
(少し呆然としたような六年と、仕方がないと言った顔の私だけ)
続
・・・これ、次は利津と六年のターンなのか。
それとも伊月と四年のターンなのか。
笑
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