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この状況を把握するのに意識を集中しすぎてて、他に警戒するのを忘れていた。
鉢屋三郎、過去最大の失敗だ!
02
微かな気配を察知した。
何かが微かに動いた気配。
ここの気配達は、ものすごい速さで動くものが多いから、ゆっくりこちらに気付かれないようにっていう気配は余計に目立つ。
動物じゃない、人間の気配。
感じた瞬間に身体は動いていた。
「貴様何者だ?」
苦無を素早く取り出して、相手の首元につきつける。
こいつは私の気配に、動きに全く気付いていなかったのか、ぽかんとした顔をしている。
「・・・・・・秋原伊織ですが」
「何処の手の者だ?私に何をした」
どんなに動きが素人だとしても、そう見せているのかもしれない。
そう疑うならどこまでだって疑える。
そういう事を学び訓練してきた、私は忍たまなのだから。
何のために私をここへ連れてきたのか知らないが、それでもこいつに何か知らの益があるのだろう。
そうでなければこのようなことしないだろう。
そう聞いても私に首元に苦無を当てられたこいつは、きょとんとしていてまるで危機感がない。
こんな状況にいても切り抜けられると踏んでいるのか?
「何故私をここに連れてきたのかと聞いている」
「だからそんなこと聞かれても答えようがないじゃないですか」
私にいったい何と言えと言うんです?
質問に質問で返すな、と怒鳴りたいところだ。
さっきからこの押し問答。
一向に前に進まない。
そっちがそのつもりなら、こちらだって考えがある。
この手に持っている苦無は飾りでも、ましてや脅しでもないのだから。
ぐっと首に食い込む苦無に、柔らかな肌に傷が付く。
つぅっと血が溢れる。
これでもまだ言わないつもりか?
このまま殺すことだって、私には出来るのだぞ。
こいつは私のその言葉に、さぁっと顔を青くするとわたわたと暴れ出した。
だが今更何をしようと、私が手をはずすはずも、逃がすはずもない。
「やっ、殺さないで!!」
怯えた様は、本当に普通の女子に見えた。
続
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